リレーコラム番外編『演奏会報告』
東京藝術大学の学祭「藝祭2013」で、「作曲科試演会Ⅱ」と「オルガン教室コンサート」、そして「A.Shcnittke記念オーケストラ」に参加しました。
「作曲科試演会」では同級生・長谷部瑞季さんの『循環-尺八・ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロのための-』という作品を演奏しました。正統派現代音楽という感じで、どのパートもそれぞれ難易度が高めでしたが、何よりアンサンブルが難しかったです。
初めて合わせをした時は自分が弾くことに精一杯で、他のパートのことまではなかなか把握できませんでした。あまりに合わせるのが大変だということがわかり、指揮者をつけて弾くことにしましたが、指揮者のおかげで合わせどころがわかるようになってからは曲の流れを理解することができ、作曲者に教えを受けながら彼女が意図したフレーズや動線、各パートの集まるところや解散するところを次第に意識できるようになりました。
正直、本番ではひとりあたりワンミスとなってしまいましたが、音楽的には様々なこと、空間を流れる何かや、色の移り変わりのようなものを表現できたのではないかなと思います。作曲者や指揮をしてくれた作曲科の友人から様々なアドヴァイスを受けたことで、自分の普段の楽譜の読み込みが、いかに甘いかを思い知りました。楽譜を前にして、どれだけの情報をそこから得られるか。読解力や洞察力をもっともっと鍛えなくてはいけないなと思いました。
「オルガン教室コンサート」は、オルガン科1・2年生のそれぞれの発表のうち、こちらも同級生の石川優歌さんの演奏曲のひとつ、ラインベルガーというロマン派の作曲家の作品『ヴァイオリンとオルガンのための組曲Op.166』よりPraeludiumで出演しました。
バロックスタイルながら結構情熱的な面もあるすてきな曲です。オルガンの足鍵盤によるずっしりといたベースに乗って弾くのは安心感があり心地よかったです。
多彩な音が出るオルガン。その複雑な構造を理解して演奏するオルガニストとは、本当にかっこいいなと思いました。出番でない時に袖で他の人の演奏を聴いていると、地を揺るがすような低い音が出たかと思えば次の瞬間おもちゃのような音が鳴っていて驚いたこともありました。
今回初めてオルガンと弾いて、安定した和声感に自分が支えられているなと感じました。いくら共演者の和声がしっかりしていても、自分自身も確固とした和声の理解が必要だなとしみじみ思いました。そうでないと相手にアンサンブルしづらいなと思わせてしまうでしょう。単旋律楽器を扱うからこそ、和声感の意識は強く持たなければいけない、と改めて思います。
「作曲家試演会」は要整理券、しかも朝8時45分に配布開始して30分後にはすべてはけている、オルガンのコンサートは整理券が無い分会場に入りきらないほどのお客さまがいらして立ち見の方も多く、湿度と温度が急上昇、とどちらも大変厳しい条件でしたが、たくさんの方が足を運んでくださいました。どのお客さまもそれぞれに大変な思いをされていたことと思います。ご来場くださり本当にありがとうございました。
そして「A.Shcnittke記念オーケストラ」については、次回のリレーコラムでふれたい思います。
ーWebアッコルド「音楽 × 私」より 2013年9月13日掲載
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