リレーコラム第13周『絵、それもイラストについて』

先月お休みしてしまいましたはらだまほですこんにちは。最近のオススメは「やさしい麦茶」です。数日店頭から消えたなーと思っていたら、500mlが550mlに増量して帰ってきて嬉しいです。

そんなはらだですが、去る6月30日、以前このコラムの脇に載せていただいたルー・ハリスンの『ヴァイオリンと打楽器アンサンブルのための協奏曲』の本番を終えました。本番で協奏曲を全楽章通して弾いたのは初めてでしたが、1楽章くらいしか弾けない試験とは違い、やはり全楽章弾けるのはいいですね、文字通り全体を描ける、世界観をお伝えできるのはいいなと思いました。

今日はわたしの好きなイラスト(絵柄)について書きたいと思います。


『絵、それもイラストについて』 

わたしは幼い頃からずっと、とにかく絵を描くのが好きだった。ヴァイオリンの練習が億劫な時も、勉強が面倒くさい時もあるけれど、絵を描いている時には、負の感情を感じたことがない。それを趣味と割り切っているせいもあるだろうが、「絵を描くこと」はいつでもわたしの味方であり、そばにいる。


「名探偵マリー」

リレーコラム第1回で、初回にして、わたしは自分の「自由帳」という至極パーソナルな話題で熱弁を振るっているのだが、そこに登場したわたしのオリジナル漫画を、今回一作だけ掘り下げたい。 小学6年生の時に描き始めた『名探偵マリーと謎の金髪美人』というミステリー漫画は、3部構成を計画していた(未完)。

第1部。舞台は2005年の東京のどこか。小学6年生の岡本真理の将来の夢は名探偵。真理は偶然、職業探偵の英国紳士と知り合いになり、時代と国境を自由に行き来できる彼に連れられて18世紀のフランス(のような国=史実からいろいろずれている)へ。そこで参加したパーティーで、生き別れた両親を探しながら働く少女・沙綾と、ホグワーツ魔法学校(ハリー・ポッターからの借用ですね、怒られますね)に通う森本英士と出会う。真理は英士と共に、沙綾の母親が巻き込まれた“事件”を追うことに。

第2部では新たなエピソードが語られる。舞台はフランス風の国。血縁関係がまったくないのにそっくりで、生年月日も出生時刻も一緒の“星占い双子”の生い立ちから話は始まる。ふたりは王の権力争いに巻き込まれ、方や王女、方や召使いの娘が、立場を入れ替えさせられる“事件”が起こる。以来心を閉ざした王女だったが、同年代の近衛兵や宮廷音楽家との交流を経て、勇敢な女性に成長する。

第3部は1部と2部の登場人物総出で、真理と英士によって、1部と2部の事件が解決に導かれる。複雑に絡みあった人間関係を紐解きながら、真理や英士とパリの若者たちの新たな友情も芽生えていく。

そしてこの第2部でパリっ子が4人登場する。中学高校ではその子たちによるスピンオフのイラストばかり描いていた(本編が進まない)。さて、今日の本題。最近好きなイラストレーターさんをご紹介したい。そして今回はこの4人を、わたしの絵柄と好きなイラストレーター・漫画家4人の絵柄で描いてみましたというのが挿し絵の趣旨である。


「お絵かきカンタービレ」

まずパリっ子を簡単にご説明。真ん中の椅子に座るのが宮廷音楽家ルイ。史上最年少で宮廷音楽隊の長に任命された人物であり、クールで皮肉屋だが面倒見のよいしっかり者。ルイの左側が新聞配達員のセザール。街のことをよく知っていて、気さくで明るくマイペース。ルイの右に立つのは王室近衛連隊長のマリアンナ。男性顔負けの剣術の使い手で、すこぶる賢くて優しい。この3人は同い年で「パリ3人組」と呼んでいる。そしてルイの後ろにいるのは彼の姪で、音楽学校に通うアンリエット。ピアノを専攻していて、天真爛漫、ルイに懐いている。

そんな彼らをそれぞれの絵柄で描き換えたものが次の絵。

左から。セザールは中村祐介調で。アジカン・カンフー・ジェネレーション(通称アジカン=アーティスト)のジャケットで有名だが、森見登美彦(『四畳半神話大系』)や東川篤哉(『謎解きはディナーのあとで』)の本の表紙も描いている。人物のボディラインがすっと美しく繊細で、躍動感と色気がある。その絵の世界は独創的で、このわたしの真似た絵だけではとても表現できないが、テーマに沿った様々なものが宙に浮かんでいるような、超現実的な面がある。ちなみに、SNSのアイコンに使えるようにと、わたしが自画像を中村祐介風に描いたものがある。

ルイは『のだめカンタービレ』の二ノ宮知子風。これは千秋真一の横顔を真似た。絵自体は至極シンプルながら、画に説得力がある。パーツはリアル過ぎないのに、存在はリアリティのある(こういう人いるよね!みたいな)顔。表情豊かな髪型。きれいな骨格。のだめがピアノを弾く手には見惚れた。そしてこの人は服の絵は無駄がない。千秋のシャツカラーの切れ味に、のだめのAラインワンピースの裾が描く軽やかなライン。自分の絵を書く時に、似た服装をした登場人物を探してよくお手本にする。わたしがこれまでで一番影響を受けたのは「のだめ」の絵だ。自分の波長に合うものを感じた。

続いてはワカマツカオリ調でマリアンナ。モバゲーの『怪盗ロワイヤル』の絵でお馴染みではないかと思う。版画を思わせるくっきりとしたラインが世界観を語る。また色使いが特徴的で、輪郭に使われる黒やグレーなどのダークカラーで全体を絞めて、それ以外に使うのは1色ないしは2色程度で描かれることが多い(本の表紙なんかだと様々な色が使われる)。何より、意志の感じられる力強い目と風に吹かれる髪が印象深い。わたしはこの人の絵を眺めるのが好きだ。ワカマツカオリの絵だから買った文庫本すらある。それもひとつ本との出会い方かな、と思う。

ヘンリエッタは上条衿風に。上条衿を知ったのは、「ワカマツカオリ」で画像検索していた時で、くっきりした輪郭、2色刷りのような色使い、という点では両者は傾向が似ている。しかし、ワカマツのそれはパリッと硬質なのに対し、上条衿の場合は艶がある。中村祐介が怪しげかつ儚げ、ワカマツが都会的でクールな色気とすれば、上条の場合、ぱっちりお目々と流れる髪、つややかなボディライン、それは「水も滴る系色気」と言えようか。女の子の絵が多く、最近は初音ミクとのコラボレーションで、ミクに始まり鏡音リンなども描いている。


コラムでこういう「勝手にコラボ企画」をやってみたいと、実はずいぶん前から思っていたのだが、なかなか絵を描く勇気が無かった。人の絵はわたしにとって難しく、描ける時描けない時に本当にムラがある。だから今までは安定供給できるうさギに逃げていたが、今回はなんとなく描ける気がしてこの企画に取り組んだ。結果。自分の首を絞めた。描くのは楽しいのだが、時間との戦いは苦しかった……。

ときどきこうして誰かのスタイルを真似て描いてみると、自分にはない、新しい技術を手に入れることができる。あれ? このフレーズどこかで聞いたことがあるような…もしかして、ヴァイオリンのレッスンかな…? というわけで、絵ばかり描いていないで、ヴァイオリンも弾きましょう。弾いています。


ーWebアッコルド「音楽 × 私」より 2014年7月11日掲載


リレーコラム共通質問

Q.夏になると聞きたくなる曲は?

A.シューマンの『クライスレリアーナ』です。地元時代、毎年夏休みには門下合宿があり、ソロは忘れて合奏や初見アンサンブルと卓球とおやつばかりする、それはそれは楽しいものでした。ある夏、母の車に揺られて合宿をする山(笑)に向かいながら、風になびく青々とした一面の稲穂を見つつ、響き渡る蝉の声を聞きつつ、車内でこの曲を聴いていました。なんだかその時のイメージが強くて、夏休みになると思い出します。

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